ZILLY’s blog

過去のさまざまなブログを合体。新しくも書いていきます。

戸田真琴 の「イカゲーム」についての論評を読んで。

TV Bros.WEBに、TV Bros.誌にて連載されている、『肯定のフィロソフィー』から、「フィクションの片隅で無意味に殺された君のための作品レビュー」【戸田真琴 2021年10月号連載】が載せられていました。

こちらは、現在 Netflixにて世界的大ヒットとなっている「イカゲーム」についての論評です。

論評内容については、こちらのリンク から読んで頂くとして、個人的な感想としては、共感するのだが、「多分、相当生き辛いだろうな~」なんて思ってしまいます…


僕が初めて戸田真琴、通称 まこりん を知ったのはイベントでした。

ちなみに、彼女はこういった執筆活動以外にも色々な顔を持っているのですが、多くの人が認知する、彼女の職業はAV女優です。

彼女がAV女優としてデビューしたのは、2016年の6月で、その数か月後、SOD本社で行われたイベントに、僕は足を運んだのです。

AKB48のメンバーなど、アイドルが写真集やDVDを発売した際には、何度かそういった販促イベントに参加したことはありましたが、AV女優のイベントに行ったのはこの時が初めてでしたし、この頃は行くつもりもなかったのです。

はっきり覚えていないのですが、WEBでアイドルイベント検索をしていた時に、何故か戸田真琴のイベントが目に留まり、行ってみることにしました。

つまり、イベント当日に彼女に会ったときも、まだ彼女のAV作品を見たことがなかったのです。

そのイベントに参加する条件が、AVソフトの購入だったので、購入した作品を帰ってから見たのですが、何だか実用には至りませんでした。

これは、もちろん彼女の魅力が低かった訳ではなく、そのときは僕自身もよく分からなかったんですが、その後の彼女の活動、ミスiD2018オーディションでの言動や執筆や映画監督といった活動から、僕にとって 戸田真琴 は、性欲で済ませてしまうような存在ではなく… いや、性欲の対象とすることが低いとか卑しいとか、そういう風に思ってはいないのですが、AV女優として知った戸田真琴という存在ですが、僕の中ではその時点で、すでに何か、AV女優とは違う存在として感じていたのではないかと思うのです。

なので、その後も1~2度イベントに行ったことがあるのですが、その時に「脱いだら全然エッチじゃなかったよ~」とかイジったら、「脱いでもエッチだよ~」って言い返されたりしてました。(どんな会話だよ)


ずいぶん脱線してしまいましたが、本題に戻ります。

この評論では「イカゲーム」に関連して、「ぼくらの」と「賭博黙示録カイジ」「賭博破戒録カイジ」にも触れているのですが、偶然にも僕は全て見ていたので、話がよく分かりました。

ぼくが、共感する部分としては、 「子供の頃に遊んだゲームで命が賭けられる、という設定は奇抜で目を引くものだけれど、その突破の仕方に面白みがほとんどなく、大体のことが力技で切り抜けられていく。」という部分などは、まさにそうで、「イカゲーム」を見ると、最初の方ですぐデスゲームものであることがわかり、否応なく「カイジ」や「LIAR GAME」、「デスノート」などと比べざる負えないのですが、ゲーム展開の安易さには思わず閉口してしまいます。

つまり、「イカゲーム」という作品は、ゲームそのものの中でなにか新しい発見や人間心理の機微を描き出そうとはしていない、つまり、単純でわかりやすい表現をすることで、視聴者層の間口を広げた作品作りを目指しているのではないかと思われるのです。
※ きび:容易には察せられない微妙な事情。

また、「Netflixで世界90か国で1位を獲得し、巷でも流行りに流行っている「イカゲーム」という韓国制作のドラマ作品がある。こういう、どこそこで1位を得たりそこらじゅうの若者たちが話題に出す作品に敢えて触れてみて後悔しなかったことはないのだけれど…」という辺りも共感するポイントです。

僕自身も、なんとなく「この作品はヒットしてるけど、自分が見たら…」みたいに思う作品は結構あって、例えばTVドラマの「家なき子」などはまさにそうで、大ヒットしていたし、企画は非常に好きな脚本家の 野島伸司 だったので、普通なら見ない選択肢はないのですが、なにか「これは違う…」感が漂っていてずっと見なかったのです。

しかし、ついに何年後かに見て「やっぱりそうだったか…」と思ってしまい…

他にも「カメラを止めるな!」も、友人が「頭の片隅にあったアイデアを、あぁ~やられたって感じなんだよ」みたいなことを言って、物凄く薦めてきて、「いや、それ、ゆうきまさみ がおまけ漫画で銀河英雄伝説のことを言ってる話みたいになってるけど、多分それとは違うだろ」なんて思い、足取り重くなりながらも見たんですが…、やはり散々で…

とまあ、多分ですが戸田真琴とそういった部分はかなり共感できるのではないかと思っているのです。

ただ違うのは、僕の場合はそれなりに楽しんで「イカゲーム」を見ることが出来ました…


その違いは、彼女が「相当生き辛いだろう」と感じたところで、たとえば「人がばたばた死ぬゲームを楽しんで鑑賞することができるということは ~中略~ 大勢の人をターゲットにしたエンタメ作品として守らなければならない矜恃があると私は思っている。」というところなど、こういった事を感じる、または考える人は多くいると思うが、これを文章にしたり、「客観的な優れた面を認めることは当然できても、好みの範囲とはまた別の個人的なところで引っ掛かりが大いに残る。観客として適性がないと言えばそれまでなのだけれど、その違和感の正体を書いておくことこそが大切な気がしたので、ここに記すことにする。」と前置きしたりするほど彼女は「それはそれとして」とか「そういう考え方もあるか…」という風に流せないんだな、と感じてしまいます。

もちろんそれこそが、彼女が創作活動を行っていける、又は、しなければいられない理由でもあると思うし、それこそが愛おしいのですが、同時に「たいへんだな」と思ってしまいます…


彼女は、処女喪失作品でAVデビューしました。

絵に描いたように、「えっ、こんな子がAVに…、しかもAVで処女喪失なんて…」と感じる彼女のデビューでしたが、この「生き辛さ」を抱えているからこその選択だったのかもしれません。




それでは、今日はこの辺りで…