ZILLY’s blog

過去のさまざまなブログを合体。新しくも書いていきます。

「火花」又吉直樹 (ネタばれあり)

やっと読みました「火花」。

SONYのポイントで電子ブックで芥川賞発表の文芸春秋をタダで買ってたんですが、今迄他に読みたいものとかあったので先送りになっていたんです。

感想としては、明治から昭和にかけての文豪の作品をよく読んでいると評判の又吉さんだけに、風景描写はこちらの頭の中にも情景が浮かぶ、素晴らしい描写でしたし、一人称小説の良さをうまく引き出していて、気持ちが入りやすい小説になっていました。

まったく表面上似ている訳ではないのですが、僕には夏目漱石の「こころ」に通じるものを感じました。

多分議論になる、「終わり方はこれで良かったのか?」については、多分一番しっくり来る終わり方は「スパークス」の解散ライブだと思うのですが、ただここで終わったらちょっと格好をつけてるみたいで気持ち悪いし、それじゃ大衆文学になってしまい(大衆文学が悪いわけではないが)作品のテーマがぶれる気もします。

あそこで終わらないとなるとそこまでのストーリーの流れから頭をよぎるのが「神谷」の死ですが、主人公が慕う人が死んでしまうという結末の「こころ」には終わり方が似て欲しくなかったのでそこはそうならなくて良かったなと思いました。

僕が死を連想した「神谷」は結局、トランスジェンダーでもないのに豊胸して巨乳になるという結末をたどる訳ですが、確かにここには違和感を覚えるものの、その違和感を含めてそういう表現がピッタリなのかもしれません。

ここはまだ答えが見出せませんが、その見出せない事が良さではないかとも思うのです。

同様に最後に素人参加型の「熱海お笑い大会」に出ようとしながらもそこを書かずに終わってしまう事が良さとも感じます。

ともかく、もう少し経ってから「「火花」の終わり方ってあれで良かったんじゃないかな」って言えるような小説じゃないかと思っています。