ZILLY’s blog

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新人K-POPガールズグループ「Billlie」「IVE」「Kep1er」…  +番外編 GOT the beat

2020年後半から2021年にかけてデビューしたK-POPガールズグループというと、「Billlie」、「IVE」、「Kep1er」ですが、この3グループについて考えてみたいと思います。


まず、この3組には、いくつかの共通点があります。

3グループ共に日本人メンバーが在籍し、更にM-netのサバイバル・オーディション番組出身者がメンバーにいるのです。

最初にデビューしたのは、2021年11月10日にミニアルバム「the Billage of perception : chapter one」より、リード曲「RING X RING」でデビューした「Billlie」です。

こちらはMYSTIC STORYという多くのソロアーティストを抱える事務所から、初めてのガールズグループとしてデビューしました。

デビューアルバムのリード曲「RING X RING」は非常に意欲的で面白い楽曲ですが、大衆性はかなり低い楽曲です。

個人的には、神秘的でサスペンス&物語的なコンセプトは面白く、高評価ですが「デビューとしてのインパクトを感じるか?」と言われると いまひとつ なのと、「メンバー個々の個性が活きているか?」と言われると疑問が残ります。

つまり、Billlie運営は現在のK-POPを取り巻く、K-POPスタイル改変の流れには気づいていたが、方法を少し誤ったのではないか?…

 そして、デビュー当初は2人の日本人(元Popteen専属モデルのTSUKIこと福富つきHARUNAこと大里春菜)を含む6人組でしたが、デビューから10日も立たない11月19日にM-netのオーディション番組「Girls Planet 999」に出演し、惜しくも10位となり、ギリギリでKep1erとしてデビュー出来なかったションことキム・スヨンのグループ加入を発表しました。
※因みに、このグループには、同じくM-netのサバイバル・オーディション番組「PRODUCE 101」出身のスヒョンことキム・スヒョンがいますし、他にも2015年放送の「UNPRETTY RAPSTAR 2」出身のムンスアことムン・スアや、2015年放送の「K-POPスター5」出身のシユンことキム・シユンとサバイバル・オーディション番組出身者が7人中4人と半数以上を占めています。

デビューから間もなく新メンバーが加入した経緯は、ひとつには同事務所 所属のキム・スヨンが、ガルプラことGirls Planet 999で活躍しながらもデビュー出来なかったことで、キム・スヨンをデビューさせたいファンからの突き上げ&事務所的にも人気がある今、このタイミングで上手く利用したい思惑&思ったより「RING X RING」の成績が振るわなかった為、テコ入れするなら、このタイミングを逃したくなかったということで、こんなに早くの加入発表になったのではないかと思います。

加入後、12月14日にデジタル1stシングル「snowy night」をリリースし、デビューからわずかひと月でカムバックを行いましたので、上記推測は間違いないのではないでしょうか。

12月のカムバックはデジタルシングルで、しかもクリスマス・ソングだったので、成績等はあまり参考になりませんが、次のカムバックがBilllieにとって正念場になるのではないでしょうか。




そして、2021年12月1日に1stシングル「ELEVEN」でデビューしたのが「IVE」です。

IVE」は「STARSHIP Entertainment」という、SISTAR、BOYFRIEND、MONSTA X、宇宙少女などK-POPグループを多数輩出し、他にも多くの俳優が所属している事務所からデビューしました。

楽曲については前に「IVE ~ELEVEN MVを見て~」という記事の中で詳しく書きましたが、非常にクオリティーが高いだけでなく、今までのK-POPスタイルにとらわれない、ワールドスタンダードとして戦える楽曲になっています。

メンバー6人の内の2人が、M-netサバイバル・オーディション番組「 PRODUCE 48」から誕生したグループ「IZ*ONE」の元メンバーで、YUJINことアン・ユジンと、WONYOUNGことチャン・ウォニョンです。

IZ*ONEは活動期間限定グループでしたが、番組プロデューサーの順位不正操作問題やコロナ問題で、実際の活動期間がかなり削られたことと、非常に完成度の高い IZ*ONE 独自の世界観を作り上げていたため、ファン発信でクラウドファンディングで多額の延長活動費用を募るなど、多くのファンからの期間延長を求められ、当時の IZ*ONE運営が延長を検討した際に、STARSHIP Entertainmentの反対があり実現しなかったとの噂があるのですが、もちろん噂なので真偽のほどはわかりませんが、IVEの他4人のメンバーのクオリティを見るとあながち噂だけではないのでは… と感じます。

なにしろ、IVEデビュー前には、ユジン、ウォニョンと同レベルのメンバーを集められるとは誰も到底思っていなかったのですが、ふたを開けてみれば、全員が他のグループに入れば間違いなくビジュアル担当であろう非常に高いビジュアル含め、想像以上に高い実力&魅力を持っていたことが驚きでした。

つまり、STARSHIP Entertainment からすると、IZ*ONEの期間延長に同意することは、当時練習生の4人のデビュー延期と同じ意味ですから、4人に対して不誠実ですし、事務所的にも大きなチャンスを逃しかねません。

それを考えれば、STARSHIP Entertainment が、IZ*ONEの期間延長に反対するのも当然ですし、もし本当にそうして、今回の成功に繋がったとしたら英断だと思います。
※個人的には IZ*ONE は延長してほしかったですけど…

実際、「SHOW CHAMPION」(韓国のケーブルテレビ局MBC MUSICで毎週水曜日に放送されている音楽チャート付きの音楽番組)にて、ガールズグループ最速となるデビューから7日で初の音楽番組1位を獲得し、その後も各音楽チャートの1位を総なめにしました。

現在「ELEVEN」のプロモーション活動は終了した IVE ですが、カムバックが待ち遠しいです。




 次に、当初は2021年12月14日にデビューするはずでしたが、スタッフのコロナ感染による隔離、また一部メンバーもコロナ感染が発生したためデビューは延期され、2022年1月3日にミニアルバム「FIRST IMPACT」より、リード曲「WA DA DA」でデビューした 「Kep1er」です。

Kep1er は、M-netのサバイバル・オーディション番組「Girls Planet 999」から誕生したグループで、特徴としてはコロナ過でのオーディションらしく、再生といいますか、再デビュー組やデビューが決まっていたが話がなくなったり、ギリギリでデビュー出来なかったメンバーが多く集まるグループです。

再デビュー組は、リーダーのチェ・ユジン(元CLCのメンバー)と、カン・イェソ(元Bustersのメンバー)です。

また、「PRODUCE48」にも出演していたキム・ダヨンはデビューが決まっていたものの、事務所の問題で叶わなかったと言われています。

他にも、サブリーダーの坂本舞白は元JYPの練習生で「ITZY」選抜時の有力候補でしたが、最終的には選ばれませんでした。

また、キム・チェヒョンは「aespa」選抜時の候補の一人と言われています。

それでは、リード曲「WA DA DA」の解説ですが、正直 僕の感想としてはイマイチと感じました。

僕は現在、K-POP全体の流れとして、楽曲の大きな改変期に入っていると感じています。

そして、一番落ち着く可能性が大きいのはワールドスタンダードと同じ方向性です。

そのことについて、前に「IVE ~ELEVEN MVを見て~」という記事の中で、ワールドスタンダードな楽曲の方向性についての説明で「シンプルで洗練されている」とし、下の3つが重要だと解説しました。
① リズム主体
② 音数が少ない
③ 今までのPOPSのルールに縛られない

これに、もう一つ加えるとしたら、少ない展開とループです。

シンプルな方向性ですから当然ですが、たくさんの展開を重ねるのはNGです。

たくさんの展開を重ねたのでは、ガラパゴスな J-POP のようになってしまい、ワールドスタンダードの逆行です。

残念ながら「WA DA DA」は、メンバーの個性を生かそうとしたんだと思いますが、ほぼメンバーの割り当てパートが切り替わるたびに展開していきます。

イントロのシャオティンのパートをAとすると、ダヨンのパートがB、舞白とイェソのパートがC、チェヒョンとユジンのパートがD、ヨンウンがE、サビ前のパートがF、とするとサビはGとなり、どれだけ展開しているんだって話なんです。

1コーラス7パートは、同じくらい展開する曲が、ちょっと思いつかないぐらいの展開の多さです。

これは作曲の際に、メンバーをイメージしながらパートごとに展開する方式で作曲し、さらに最初の楽曲完成時には現在のサビは無かったけど、いま一つインパクトに欠けたためサビを追加したのではないかと感じます…

そのくらい、サビは唐突でしかも悪い意味で万人受け狙いを感じます。

これでは、旧来のK-POPスタイル以下で、10年くらい時代を逆行した感じ…
※しかし、同アルバム内の「MVSK」は先進的です、しかしキャッチーさが足りないと判断され、リード曲にならなかったのでは… 同感ではあるのですが、それで「WA DA DA」では…

しかも、同日に発売された「GOT the beat」の「Step Back」は楽曲的に先進的で素晴らしかっただけに、「WA DA DA」には非常に残念な気分になりました。

とはいえ「WA DA DA」はMnetの「M COUNTDOWN」やKBS2の「ミュージックバンク」で1位を獲得しているのですが、CDの初週売上が女性グループのデビューアルバム史上最多を記録した影響が大きく、しかもCDの売上は韓国国内よりも日本を主体とした海外での売り上げが多いようで、現在主流のストリーミングでは全く振るわない状況となっています。

最初のみ素晴らしい成績で、その後全く忘れられてしまうような状況にならないかが心配です…



ちなみに「GOT the beat」の「Step Back」のMVがこちらです。

こちらも、歌詞の問題で結構炎上したようですが、韓国語のわからない僕には関係なく純粋に曲を楽しめました。

楽曲的にはガールクラッシュ系ですが、着目点はそこではなく「シンプルで洗練されている」という点で、下記のように新しいK-POPスタイルを目指しているのは間違いありません。

① リズム主体 - サンプリングをうまく使い音階のある音もリズムに重心が置かれている
② 音数が少ない
- 2コーラス目につながるブリッジ以外にメロディ楽器を使っていない
③ 今までのPOPSのルールに縛られない
- メロディ楽器をほとんど使わず、サンプリングも人の声を含めてリズムとして使われており、和音に縛られていない(モードをさらに進めた感じ)
※モード ー 音楽の様式で元々は民族音楽の主流様式で西洋音楽のように和声(コード)理論に縛られず、基音(ベース音ではない)として一つの音が一曲を通して流れている。(現代の音楽で使われているものの代表的なものは マイルス・デイビス の「so what」など)

いや、圧巻です。





それでは、今日はこの辺りで…