ZILLY’s blog

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アイドルとは? ~語源・英語圏・日本では~

アイドル論というカテゴリーを作っているにも関わらず「アイドルとは?」ということに触れていなかったので、今回は基本に戻って、アイドルについて、語源や実際の英語圏での使われ方、日本での成り立ちや使われ方など、歴史について書いていきたいと思います。
※こちらの記事内容は、女性アイドルに限定したものになります。

Idoll : 語源

語源としては、ギリシャ語の「εἴδωλον」(日本語読みは「エイドーロン」、意味は「形,幻影」)が、ラテン語の「idolum」(日本語読みは「アイドラム」、意味は「偶像」)に変化し、それが英語の「idol」に変化したと言われています。

「idol」は本来、偶像崇拝が認められていないキリスト教徒から見て、偶像崇拝を行う邪教(宗教)の神を模した形、すなわち偶像のことを意味しています。
偶像崇拝が認められていないキリスト教徒 ⇒ キリスト教にもキリストの像などがあるが、キリストの像は神の形ではなく、キリストの姿を見て神を想像し、その神に祈るということに理屈上なっている。

つまり「idol」とは、ポジティブな意味合いの「崇拝の対象としての偶像」や「憧れの存在」といっただけでなく、「邪神」や「間違った認識」また「ペテン師」というネガティブな意味も持ち合わせているのです。

Idol : 英語圏での使われ方

1900年代半ば頃から、アメリカで「人気のある人」を示す際に用いられるようになり、現在でも下記のように使われ、一見、使われ方は日本と同じように見えます。

You are my idol. 「あなたは私のアイドルだ。」

a person who is an idol. 「あこがれの的になる人」

There is an idol that I like. 「私には好きなアイドルがいます。」

The singer was a pop idol of the 1980s. 「その歌手は1980年代のポップミュージックのアイドルだった。」

しかし、下記のような使われ方は、少し日本での使われ方とは違うと思います。

My father is my idol, and I aim to be like him.  「父は、理想であり目標です」

He is the idol of his pupils. 「彼は生徒から深く慕われている。」

また、ミュージシャン(英語圏では音楽家のことをアーティストとは呼ばない)で多くの人からアイドルと呼ばれているのは「ビートルズ」や「エリック・クラプトン」などが代表的です。

つまり、本来同じように日本で使うなら「サザンオールスターズ」や「松任谷由実」をアイドルと呼ぶべきですが、やはり日本では違和感があります。

Idol : 日本での成立ち

日本でも、アメリカからの影響で、同じく1900年代半ば頃に「人気のある人」をアイドルと呼び始めましたが、まだ一般的とは言えませんでした。

その後、1970年代に南沙織天地真理らがアイドルと呼ばれ、また「スター誕生!」からデビューした若手歌手たちが「アイドル」として売り出され、これらがアイドルの呼び方を広めるきっかけになったといわれています。

この時代、絶大な人気を獲得した、「キャンディーズ」、「ピンクレディ」、「山口百恵」らが登場し、彼女らもアイドルとも呼ばれてはいましたが、みんなが憧れる若い歌手といった感じでアメリカでのアイドルの表現に近く、現在のようなひとつのジャンルとしてのアイドルではありませんでした。

その後、1980年代に入り「松田聖子」「小泉今日子」「中森明菜」他、多くのアイドルと呼ばれる歌手が活躍した事で、ひとつのジャンルとしての「アイドル」が一般的に浸透するとともに、後にこの時代のことを「アイドル黄金時代」と呼ぶことになります。

また、まだ育成途中の歌手もこの時代のブームに乗って、アイドルとして多く売り出された為、アイドル = 未熟(人気に比べて実力が伴わない)というネガティブなイメージも作られてしまいました。

ただし音響機材の進歩により、プロの歌声とは「太い声なのに抜ける声」、つまり音響機材がイマイチでも安定して聴ける歌声だった時代から、個性的な歌声でもプロとして通用するように1970年代後半あたりから変わってきたのですが、それまでの「太い声なのに抜ける声」をプロの基準と思ってきた年配者などから、個性的 = 下手 というレッテルが張られた面も否めません。

事実、現在では高い歌唱力を持っていることを誰もが知る「松田聖子」ですが、デビュー当時は下手な歌手と思われていました。

松田聖子は歌が下手?

松田聖子」はデビュー前に幾度もオーディションに落ちましたが、CBSソニーディレクターの若松宗雄に見いだされ、紆余曲折の上、サンミュージックに所属が決まりデビューします。

松田聖子」の所属を持ち掛けられ断った 尾木徹プロダクション尾木 創設者)は後に「松田聖子」について「印象的ではあったが、声がヒステリック過ぎて、当時の感覚では売れるのは難しいと思った」と発言しています。

松田聖子」の歌唱は非常にソリッドで、印象的で素晴らしい反面、ちょっとしたミスでも目立ちやすいという特徴がありました。

当時の大ヒット音楽番組「ザ・ベストテン」は車や新幹線に乗り込みながら歌うことはもちろん、走って次の現場に向かいながら歌うなど当たり前に行われていましたので、そのような状況でミスなく歌うことは難しく、それらも手伝って当初は下手だと誤解されました。

大人数グループアイドルの誕生

1980年代前半までのアイドルは基本的にはソロの歌手で、グループの場合でも多くても5人程度でしたが、現在のような大人数アイドルの始まりが1985年に生まれた「おニャン子クラブ」でした。

おニャン子クラブ」は元々フジテレビが番組の為に集めた女子高生のグループで、素人が売りでしたが、実際は多くのメンバーが芸能事務所に所属していた歌手予備軍だったこともあり、ファーストシングルの「セーラー服を脱がさないで」のレコーディングで最初に録音された音源が「素人が歌っているように聞こえない」と、当時のフジテレビディレクター 笠井一二 が指摘したことから、番組のイメージに合わせて、歌が下手に聴こえるように取り直されました。 しかし、意外にも、この曲は大ヒットするのです。

この頃から、「アイドルは歌が下手でも売れる」だけでなく、「アイドルは歌が上手いと売れない」といったことも囁かれ始め、それまでの「未熟ゆえに歌唱力が伴わない人もいる」というアイドル像から、「アイドル ⇒ 未熟 ⇒ 歌が下手」 と思われるようになって行きます。

実際にモモコクラブ西村知美酒井法子など多くのアイドルを輩出した)で最も歌唱力が高いと言われた姫乃樹リカも、レコード会社が彼女の為だけに事務所を立ち上げたり、大きなタイアップでシングル発売など破格の引き立てだったにも関わらず、歌手として成功したとは言い難く、また 遠峰ありさ(後の華原朋美)も歌唱力に定評があったが全く売れず、アイドルではなく女性シンガーとして、小室プロデュースで再デビューによりブレイクしました。


モモコクラブ ⇒ 一般的なアイドルグループとは違い、雑誌MOMOCOの中の特別ページから生まれたグループで、のちに同名のテレビ番組も放送されたが、グループとして楽曲が発売されたりした訳ではない。

アイドル冬の時代

また1990年代前半に、「沖縄アクターズスクール」のトップチーム、「SUPER MONKEY'S」がデビューし、当初はアイドル的な扱いでしたが、メンバーチェンジを繰り返したのち、「安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S」としてヒットを飛ばし、その後「安室奈美恵」と「MAX」に分かれ、アイドルではなくアーティストとして活動していきます。

そういった流れや、1990年代にアイドルとして成功する人がほとんど現れず、「アイドル冬の時代」と呼ばれ、「アイドルとして売り出す = 失敗」と思われるような状況や、アーティストという言葉がもてはやされるようになり、現在からみると「アイドルなのでは?」と思う「SPEED」や「Folder」(三浦大知や現女優の満島ひかりが在籍)なども、アイドルではなく、ダンス&ボーカルグループ(アーティスト路線)でデビューしました。

※右下は三浦大知脱退後に「Folder」から改名した「Folder5

また、アイドルの楽曲が売れなかったことにより、多くのアイドルがグラビア界に積極的に売り出したこともあり、それまでの水着などの露出の多いグラビアで活躍する女性 = キャンギャル(キャンペーンガール)やレースクイーンから、 グラビアで活躍する女性 = グラビアアイドルという呼び方に代わって行き、またアイドル的人気を獲得した声優が誕生し 声優アイドル と呼ばれるなど、アイドルが多様化していきます。

現在のアイドルのベースとなる「モーニング娘。」誕生

その後、1998年に「モーニング娘。」が誕生し、1999年に「LOVEマシーン」を大ヒットさせたことで、再度アイドルブームが到来しました。

モーニング娘。」など、多くのアイドルをプロデュースした「つんく♂」はアイドルにクオリティの高い育成による、レベルの高いダンスパフォーマンスと歌唱力を与えたと同時に、「歌が上手い=アイドルとして売れない」という図式を打破する、歌が上手く聞こえない(大人っぽかったり、完成されているように感じさせない)歌唱法を教えることで、歌が上手くてもアイドルとして成功することを証明しました。

その集大成とも言える「松浦亜弥」は非常に高い歌唱力を持っていると同時に、それを感じさせない歌唱法によりアイドル界のトップに立ちました。

実際、「午後の紅茶」のCMでのカバーソング歌唱を耳にして、初めて「松浦亜弥」の歌唱力の高さに気付いた人も多かったようです。

しかし「松浦亜弥」を最後に、ソロアイドルは完全に衰退してしまいます。

それまでの常識を破壊する「AKB48」の隆盛

その後「モーニング娘。」を筆頭とした「ハロープロジェクト」が衰退した後に、「AKB48」の時代がやってきます。

AKB48」は、2009年に「RIVER」でオリコン1位を獲得したことを皮切りに、その後10年近くの間、ブームを維持し、アイドル界をけん引する事になります。

AKB48」は「モーニング娘。」以上に今迄の常識を覆してきたグループです。

まず、「AKB商法」とまで言われた、CDに握手券をつけて売ることで、ファン一人一人に大量のCDを買わせ、なんと38作連続、通算では39作ミリオン達成という偉業を成し遂げます。
※私自身も多い時、1枚のシングルリリースで200枚以上購入しましたし、私の知っている限りでは1万枚以上購入した人もいます。(こちらは総選挙投票用)

もちろん、CDの売り上げではありますが、実際多くの人が欲しているものは握手券なので、CD売り上げにカウントするのはいかがなものかという意見も多くあり、こういった実体のない売上でチャートを席巻した為、「AKB48」は他のアーティストのファンから、とても嫌われました。

 建て直し前の旧国立競技場で、当初最後の公演者と言われていた「嵐」よりも後に公演を行うことになった際も「AKB48」は「嵐」のファン、いわゆる「アラシック」から、かなりのバッシングを受けましたが、同様に「嵐」より後に公演を行うことになった「ももいろクローバーZ」はバッシングをほとんど受けなかったことでも、いかに「AKB48」が嫌われていたかがわかります。
※「ももいろクローバーZ」は「嵐」の国立競技場での公演のDVDをみて感動し、国立競技場公演を目標にしていたという経緯もある。

その後、上記のような問題や、ダウンロードが主流の状況を鑑みて、オリコンその他、ほとんどのチャートは、指標をCDだけでなく、総合的に判断するものに変わっていきます。

 他にも、AKB48グループは色々画期的なことを行いました。

その代表的なものが、CDなどAKB48の関連商品に対して投票権を付けることで、メンバーの人気投票を行う、「シングル選抜総選挙」です。

第4回の2012年から、上位発表はフジテレビで生放送され、人気絶頂の2013年には平均視聴率が20%を超え、前年に乃木坂46レコード大賞を取り、「AKBブームはもう終わった」と言われていた2018年の総選挙でさえ、平均視聴率は10%を超えました。

そして、総選挙により大きく変わったのが、運営のアイドル個人への評価です。

 それまではレコード会社や芸能事務所の、所属アイドル個人に対しての評価は、ある程度人気も考慮はされましたが、あいまいである事やプロの基本として必要なダンスなどパフォーマンスや歌、ビジュアルなどの実力で評価され、グループ内でのポジションや仕事の割り振りなどが決められていました。

 なのでアイドル側も、それを念頭にがんばり、実力を上げて良いポジション、良い仕事を得ることを目標としていました。

 しかし、「AKB48」の評価は「総選挙の順位」という人気のみの評価となります。

 これによってアイドル側は「実力は要らないので、なんでも好きなように頑張ってください、評価は人気投票で決めますから」という、何をがんばれば良いのかすら自分で考え、選択しなければいけないという、厳しい現実を突き付けられることになります。

後に秋元康は下記のような発言をしています。

「総選挙は僕たちの親心なんですよ。『あなたたちは、芸能界を目指し、歌手や女優になりたいんだろう。そこでは歌や踊りや容姿だけじゃない、日常茶飯事にわたってランキングされているんだ。』歌番組で誰を出そうか、映画の配役をどうしようか、コマーシャルに誰を起用しようか、という話になったときには全てランキングを見ながら選抜していますからね。」
※読んでわかる通り「僕たちの親心~」は欺瞞。

「順位の低いメンバーについては、昔なら『どうすればいいか、自分で考えなさい』と突き放したかもしれませんけど、最近はそうもいかず、専門の臨床心理士スクールカウンセラーが何人かで体制を組み、話を聞くようにしています。精神的にも肉体的にも、やっぱりプレッシャーが大きいですから」
※つまり昔は「自分で考えてがんばれ」だったということ

 上記のように、人気のみを重視する事や、劇場公演を異常なまでに短い準備期間で行うなど、クオリティーを無視する運営の姿勢により、メンバーは実力を培うことを軽視するようになります。

それが如実に現れたのが、韓国のオーディション番組にAKB48が参加した「PRODUCE 48」でした。

「PRODUCE 48」から生まれたグループ「IZ*ONE」

最初のクラス分け審査のパフォーマンス披露で、多くのAKB48グループメンバーのパフォーマンスが素人同然だった事に韓国の審査員達が驚きました。
※この時の放送で「日本では実力ではなく愛嬌が重視される」といった間違った説明が流れたことにより、韓国では本来の「AKB48=実力が無い」ではなく「日本人練習生=実力が無い」という偏見を生んだ。

しかし、絶頂を極めた「AKB48」にもブームの終わりが来ます。

当初は公式ライバルとして、「AKB48」と同じく 秋元康 がプロデュースするグループとして誕生した「乃木坂46」でしたが、ついに2017年の日本レコード大賞で大賞を受賞します。

このまま「乃木坂46」が「AKB48」に引導を渡すのかと思われましたが、2018年12月、「AKB48」の姉妹グループ「NGT48」のメンバーが、寮で暴行を受ける事件が発生したことにより、AKB48グループの闇の一端が世間に知れ渡り、急激に「AKB48」をメディアで目にする機会が減っていきました。

その後、追い打ちを掛けるように新型コロナウイルスの流行によって、AKB商法の中心であった握手会が開けなくなり、「AKB48」は衰退の一途をたどることになります。

現在のアイドルの中心的存在:坂道シリーズ

AKB48」公式ライバル「乃木坂46」は2011年の結成当初、制服をイメージさせる衣装や大規模握手会、そして投票により配役を決める舞台やAKBのセンター方程式で選ばれた生駒里奈センター起用など、AKBの手法を多く取り込んでスタートしましたが、やがて独自の道を歩くことになります。

 乃木坂46が結成された頃は、「AKB48」が地下アイドルから国民的アイドルに成りあがったことで、日本中に大量のアイドルグループが発生していました。

 その大量のアイドルグループの中から、どんなグループがブレイクするかを判断するのは難しいですが、ブレイクしないグループは簡単にわかります。

それは、既に似ているグループが存在する場合、過去の歴史からみても二番煎じのグループはブレイク出来ません。

ですが、面白いことにブームでたくさんのグループが誕生した時、ほとんどは似たようなグループで、残念ながら既にブレイクしないことが約束されているのです…

当初、「乃木坂46」も… 、もちろんある程度、他とは違うコンセプト付けはされているものの、方程式としては「AKB48」の延長線上にあるグループで、そこそこは売れるものの、公式ライバルの「AKB48」には遠く及ばないといった存在でした。

しかし、その後「乃木坂46」は大きく進路変更を行います。

一般的には、正統派アイドルといわれる乃木坂46ですが、実際は反アイドルの道を進んだというのが正解ではないかと思っています。

つまり、女性アイドルグループなのに男性をターゲットにしなかったり、よく言われる「アイドルか?アーティストか?」ではなく、それとは違う第三極を狙ったのだと思います。

乃木坂46の多くのメンバーは女性ファッション誌のモデルとなり、それによって女性のあこがれとなり、その中心的存在の「西野七瀬」「白石麻衣」をグループのセンターに据えました。

「アイドル = 男性にとって都合のいい存在」から「アイドル = 女性が憧れる存在」に変わったのです。

白石麻衣」や「生田絵梨花」の写真集は大ヒットして、その年の最も売れた写真集となりましたが、購入者の男女比は女性の方が多いと言われています。

これは女性アイドルグループ メンバーの写真集としては異例です。

 そして、乃木坂46のコンセプトが固まった後、坂道シリーズ第2弾となる「欅坂46」が誕生します。

欅坂46」のコンセプトはロックでした。

しかし、通常アイドルグループのコンセプトがロックだとすれば、曲のアレンジをロックテイストにするというのが常套で、そういったグループはBABYMETALを筆頭にすでに多数いますが、「欅坂46」の場合はそれとは違い歌詞がロックでした。

現在、日本の音楽シーンでの主流はロックバンドですが、よく論議されるロックという言葉の意味の解釈のひとつに「反体制・反社会」があります。

しかし、日本のメジャーなロックバンドで「反体制・反社会」を歌ったものは、最近ほとんど耳にしません。

つまり、アイドルが「反体制・反社会」を歌うことで、表面的ではないロックを表現し、ロックバンドよりも私たちの方が本物だと主張したのです。

欅坂46」はデビューシングルの「サイレントマジョリティー」から衝撃をもって迎えられ、大ヒットします。

しかし、センターで「欅坂46」の象徴でもあった「平手友梨奈」が精神的に落ちて行き、ついには脱退。

支柱を失った「欅坂46」は改名の道を歩みます…



坂道シリーズ第3弾、「日向坂46」は元々「欅坂46」のアンダーグループ「けやき坂46」でした。

全く「欅坂46」と違う方向を向いた人たちが集まり、違う道を歩いていくことになる「けやき坂46」は結成後、長らくデビュー出来ないまま、しかし誰一人欠けることなく過ごし、ついに結成から3年、改名して「日向坂46」となり、メジャーデビューします。

デビュー曲「キュン」のイメージもあり、かわいいイメージの強い「日向坂46」ですが、実は「日向坂46」の魅力はギャップではないかと思います。

というのも、坂道シリーズの中で、もともと運動神経やダンス、また歌唱能力の高い人達が集まったグループが「日向坂46」で、またデビューまでの間に揉まれ、バラエティー対応力なども坂道シリーズの中でずば抜けています。

「日向坂46」は、一見した かわいいイメージとは逆の実力派グループであり、本当の意味での正統派アイドルグループは「日向坂46」なのではないかというのが結論です。

そのほかのアイドル

ここに書いたのはメインストリームのアイドル達ですが、この大きな流れ以外にもその時代、時代の特徴的なアイドルは存在しました。

1980年代には、現在では廃れてしまった、女優アイドルとして「薬師丸ひろ子」、「原田知世」、「渡辺典子」が「角川3人娘」として活躍しました。

1990年代には、現在のアイドル研修生制度の先駆けであり、後の「篠原涼子」や「仲間由紀恵」を輩出した、1990年代アイドル界 唯一の成功例といわれる「東京パフォーマンスドール」。

1990年代末期~2000年代には、声優アイドルが一般にも認知されるようになり、「椎名へきる」や「水樹奈々」が武道館公演を行いました。

2010年代には、「AKB48」以外にも「ももいろクローバー Z」や「でんぱ組.inc」がブレイク。


さらに「BABYMETAL」はアジア人として初めて、ロックの殿堂といわれるイギリス、ウェンブリー・アリーナで単独公演を行い、また 3rdアルバム「METAL GALAXY」は Billboard TOP 200 で13位にランクインし、1969年に坂本九が記録した14位を54年ぶりに更新しました。

最後に…

 最初に、「idolとは、ポジティブな意味合いの『崇拝の対象としての偶像』や『憧れの存在』といっただけでなく、『邪神』や『間違った認識』また『ペテン師』というネガティブな意味も持ち合わせている」と書きましたが、日本のアイドルたちへの表現としても、言い得て妙です。

 何しろ、1980年代にはブームによって、十分に育成できていない歌手をアイドルとしてデビューさせたり、おニャン子クラブのように、わざと歌が下手に聞こえるようレコーディングをやり直したり、またAKB48では実力軽視の姿勢を運営が示したりと正に「間違った認識」や「ペテン師」と呼ばれるにふさわしい存在です。

 しかしそれだけでなく、「崇拝の対象としての偶像」という表現も実に的を得ていて、ヲタ芸としても有名で、現在 アイドルのライブ・コンサートなどで多くの観客が行っているのを見ることが出来る「ケチャ」は、アイドルに対して捧げるように手を仰ぎ向けるダンスですが、原形はインドネシアのバリ島で行われる男声合唱「ケチャ」での行為で、俗にケチャックダンスと呼ばれますが、バリ・ヒンドゥー(バリ土着の信仰とインド仏教やヒンドゥー教が習合した信仰体系)の憑依舞踊であるサンヒャン・ドゥダリの演者に向けて行われる行為、または動作なので、まさに「ケチャ」はアイドルを神と捉え、仰ぎたたえているのです。

 さらに、「憧れの存在」という意味でも、乃木坂46の「女性のあこがれ」を目指す戦略などは正にそのものです。

アメリカなどの英語圏では本来の「idol」の意味であった、「偶像崇拝を行う邪教(宗教)の神を模した形、すなわち偶像」からは遠くはなれ、 「憧れの存在」といった意味合いでの使われ方が強くなりましたが、日本のアイドルは見方によれば、正に原形のまま、「邪教の偶像」として君臨していると言えるのではないでしょうか。


それでは、今日はこの辺りで…