ZILLY’s blog

過去のさまざまなブログを合体。新しくも書いていきます。

事業経験談 ~宅配ピザ 奮闘 編~

ユーザー車検代行は半年程度で断念して、一緒に会社を始めた友人(社長)が、大手飲食チェーンで宅配ピザチェーンの立ち上げを経験していたことから、ノウハウを持っている宅配ピザチェーンを始めることにしました。

宅配ピザチェーンを始めるといっても、最初は一軒の宅配ピザ店から始める事になります。

しかし目的はチェーン展開ですので、屋号(ブランド名)、ブランドロゴ、メニューなどはチェーン化を前提に行いました。

社長は大手飲食チェーンでマーチャンダイジングの勉強&実践をしていましたので、ブランディングや出店に関しては問題なく、またメニュー選定に関しても立ち上げ時の経験があり、また僕は中学校一年生の時から家族の食事を作っていて調理に明るく、また親戚のおじさんに「こんなに料理が上手いんだったら、料理の専門学校に行ったほうがいい」と薦められるくらいには料理のセンスがあったので、特に大きな問題も無く大手チェーンに負けないメニューが作れました。

ロゴやメニューの版下作りには、大手広告代理店で仕事をしているデザイナーを起用し、そのロゴを元に僕が看板や店舗のデザイン&設計をおこないました。

戦略としては、出店マージンを取らず(通常大手チェーンは出店に掛かる費用にかなりの儲けを乗せている)自分たちの儲けは教育費用程度で安く出店、店舗営業時も食材全部にマージンを乗せるのではなく、特別に配合したピザ生地の粉のみ本部が販売する形で大手に比べて材料費を抑え、半額キャンペーンを多発することで、大手チェーンに対抗するという戦略でした。

当時は、他がまねできない戦略であり、また大手に対抗する唯一の戦略と思っていましたが、今考えると この頃から社会全体で安売り戦略があふれ、日本はデフレとのせめぎ合いになって行ったので、実は時代に流されていたのかもしれません。

とはいえ、計画は順調で最初に出店した店を自分たちで営業し、業務実行能力の高い僕を中心に店舗営業を軌道に乗せながら、カリスマ性とバイタリティにあふれる社長が営業能力を活かして探してきた出店者希望者に営業状況を見せ、出店を決めて行く方法は上手く行き、3年目に入った辺りでは10店以上の店舗数となっていました。

しかし、この頃から出店数は頭打ちになり、薄利多売商法の問題点が露呈してくるのです。

つまり、宅配ピザチェーン店舗を10店以上出店している状況でありながら、店舗で宅配ピザ店の実営業業務を行わずに出店営業など、本来の本部の業務を行っているのは社長であった友人のみで、当の僕はというと1日12時間の宅配ピザ店の実営業に加え、チェーン本部としての加盟店対応や出店時のデザイン&設計を行っている状況で、1日の平均労働時間が15時間くらいで、完全な休みは1ヶ月に1回程度という過酷な状況から、いつまで経っても開放されないという問題に陥っていました。

これは僕だけでなく、直営店を3~4店舗営業していたのですが、そちらは雇った社員が店長と各フランチャイザーの本部担当者を兼任している状況で、みんな同年代と比べて収入は高いのですが、非常に過酷な労働環境の上、労働時間を会社勤めで残業代もきちんと貰えているとしたら、確実にそれよりは低いという、つらい状態だったのです。

もちろん、出店が頭打ちになった時点でなにかテコ入れを行わないといけないのですが、まずフランチャイザーがいる状況ですので業態変更は難しいですし、店舗等はそのままで根本的な問題である薄利多売を変更して高級路線に変えるのはそれ以上に難しいです。

なにしろ、大変ながらもそれなりの給料が取れていたのは、「安くて美味しい」という特徴があってこそなのですから・・・

これの打開策として社長が考えたのは、チェーンなどではない個人営業の喫茶店に「おいしいピザトースト」を卸すという新規事業でした。

社長だけでなく、僕も店舗の暇な時間帯を使って営業に奔走するのですが、何件も回ってやっと一軒で試食して貰い、そうやって試食して貰ったほとんどの店で「たしかに美味しいね」となり、価格的にもそれなりには納得してもらえるのですが、卸すということにはなりません。

カリスマ性があり、営業能力の高い社長でさえも同様の状況に陥ります。

この後、僕たちはこの新規事業の根本的な問題点に気付くことになるのです・・・







それでは、今日はこの辺りで。